単相と三相の違い – 勉強会資料

やさしくわかる電気の基礎

単相と三相の違いについて

〜家庭の電気と、工場を動かす電気の違い〜

2026.4.23 | 勉強会資料

1. 単相(たんそう)とは?01

1人で運ぶ(大変)

イメージ:
1人で荷物を運ぶ状態、または
片足で自転車を漕ぐ状態

  • 波が1つだけ 「単相」は、電気の波(プラスとマイナス)が1つだけで送られてくるシンプルな仕組みです。
  • 身近な場所で活躍 一般家庭のコンセントや、オフィスの照明、パソコンなど、比較的小さな電気で動くものに使われます。
  • 配線がシンプルで安全 基本的には2本の線で電気をやり取りするため、構造が単純で安全性が高いのが特徴です。

2. 三相(さんそう)とは?02

みんなで協力して運ぶ 3人で息を合わせて(楽)

イメージ:
3人で息を合わせて荷物を運ぶ状態、または
3人乗り自転車

  • 3つの波が助け合う タイミングを少しずつズラした「3つの電気の波」を同時に送る仕組みです。
  • 大きな力を生み出す 工場、業務用の大型エアコン、エレベーターなど、非常に大きなパワー(動力)が必要な場所で使われます。
  • 3本の線で超パワフル 3本の線を使って効率よく大量の電気を送ることができます。力が途切れないため、大きなモーターを回すのに最適です。

【図解】 波の形を比べてみよう03

交流の電気は波打っています。「単相」は波がゼロになる瞬間がありますが、「三相」は波が補い合うためゼロになりません。

単相の波(1つの波)

赤丸のところで電圧が「ゼロ」になり、力が一瞬途切れます。

三相の波(3つの波)

どれかの波が常に高い位置にあるため、力が途切れません。

なぜ産業用には「三相」を使うの?(3つの理由)04

家庭用の単相があるのに、わざわざ三相を使うのには明確なメリットがあります。

1

電力が滑らかで
途切れない

単相の瞬時電力 ↑ ゼロになる瞬間がある 三相の合計瞬時電力 常に一定 → 振動・騒音なし

3つの波が互いを補い合い、合計の瞬時電力が常に一定に保たれます。

2

モーターを
そのまま回せる

U V W N/S 自然に回転磁界が発生

3本つなぐだけで回転磁界ができ、始動回路なしでモーターが回ります。

3

電気料金が
安い(動力プラン)

電力量料金(円/kWh)の目安 約30〜40円 単相(従量電灯) 大幅に安い 三相(低圧電力)

動力プランの電力量単価が大幅に割安。24時間稼働の工場ほど効果大。

まとめ:単相と三相の比較05

比較ポイント 単相(Single Phase) 三相(Three Phase)
電気の波 1つ
(力がゼロになる瞬間がある)
3つ
(ズラして送るため力が途切れない)
電線の数 基本 2本 基本 3本
(効率よく大量の電気を送れる)
使われる場所 一般家庭、小さな店舗、オフィス 工場、大型ビル、商業施設
動かすもの テレビ、照明、家庭用エアコン 業務用エアコン、エレベーター、工作機械

発展:単相200V機器を三相200Vで使うには?06

三相200Vの3線(U・V・W相)の任意の2本を取り出せば、単相200Vとして使えます。ただし注意点もあります。

三相200V (動力電源) U・V・W相 U相 V相 W相(未使用) 単相200V 機器 (例:暖房・溶接機) U-V間 = 200V 相バランスを崩さないよう3パターンを使い分け パターン① U相 V相 パターン② V相 W相 パターン③ W相 U相 ★ 重要ポイント ① どの2線を取っても電圧は200V(線間電圧) ② 100Vは取り出せない(中性線がないため) ③ 工事は必ず電気工事士に依頼
✓ できること 3線のうち2線を使えば単相200Vが取れ、単相200V機器(暖房・溶接機・業務用エアコン等)を動かせます。
⚠ 注意:相バランス 同じ2線ばかり使うと特定の相に負荷が偏り、三相のバランスが崩れます。複数機器がある場合はU-V/V-W/W-Uを分散配分します。
⚠ 注意:100Vは取れない 三相200Vには中性線がないため、2線を選んでも必ず200Vです。100Vを使いたい場合は降圧トランスが必要です。
✗ 契約上の注意 動力契約(低圧電力)は本来モーター負荷用。単相機器メインの使い方は契約違反になる可能性があり、事前に電力会社へ相談が必要です。

適材適所の電気選び07

単相と三相は、どちらが優れているというわけではなく、「用途」に合わせて使い分けられています。

家庭用には「単相」

安全で仕組みが簡単な単相は、私たちの毎日の生活を支える身近な電気として最適です。

産業用には「三相」

モーターを回す力が必要な場所では、ロスが少なく経済的に大パワーを出せる三相が日本の産業を支えています。

よくある質問(Q&A)08

Q1.「三相100V」はありますか?
A.日本の規格にはほぼ存在しません。三相の標準電圧は200V・400Vです。100Vは単相専用と考えてOK。現場で「三相100V」と言われた場合は、動力電源を降圧トランスで単相100Vに変換したケースが多いです。
Q2.三相で電線が「4本」出ているのはなぜ?
A.工場の4ピンコンセントは通常 3相(U・V・W) + アース(接地線)。感電防止のため接地が必須だからです。大型ビル用の「三相4線式(400V級)」の場合は、3相+中性線で、動力(415V)と電灯(240V)を1系統で両用できます。
Q3.「動力」って何のこと?
A.電力会社の契約区分の一つで、正式名称は「低圧電力」。業務用エアコン・工作機械・大型ポンプなどモーターで動かす機械に供給する三相200V電源のこと。対義語は家庭用の「電灯」契約。基本料金は高いが電力量単価が割安です。
Q4.単相200V機器を三相200Vで使える?
A.技術的には可能(3線のうち2線で200Vが取れる)。ただし ①相バランス ②契約形態 の2点に要注意。動力契約で単相機器ばかり使うと契約違反となる場合があるため、電力会社に事前確認を。
Q5.一般家庭で三相を契約できる?
A.可能ですが、専用の配線工事と契約変更が必要。動力は基本料金が割高なので、連続稼働する大型機器(業務用エアコン・大型ポンプ等)を使う場合のみメリットがあります。
Q6.なぜ動力プランの基本料金は高いの?
A.動力契約は契約容量(kW)で基本料金が決まるため、設備規模に応じて固定費が発生します。代わりに従量単価(円/kWh)が安いので、使用量が多いほど得です。
Q7.単相100V機器を三相200Vに繋いだら?
A.絶対にNG。電圧が2倍になり、機器が焼損・発火します。三相コンセントと単相コンセントは形状が異なるため物理的に差し込めませんが、無理な配線は厳禁。必ず電気工事士に相談してください。
Q8.三相の方が「感電しやすい」って本当?
A.電圧自体は単相200Vと同じ(線間200V)。ただし三相は動力用で大電流・大容量が流れる設備が多く、事故時の被害が大きくなりやすいため、取扱には単相以上に注意が必要です。